>>> 年金保険料督促、実施4割、民間委託分、業者「人員集まらず」
納付目標の達成事務所、0.9%


 日本年金機構が民間業者に委託している国民年金保険料の納付督促業務について会計検査院が検査したところ、業者が電話や戸別訪問で督促した件数が計画の4割にとどまっていたことが19日、分かった。


 納付実績も目標を達成した事務所はわずか0・9%だった。


 保険料の納付率は低下し続けており、検査院は「業者の指導強化など業務を抜本的に見直す必要がある」と指摘している。
 検査院は、機構が保険料未納者に対する督促業務を委託している民間6社のうち3社の業務を調査。


 3社は入札時に提出した企画提案書で今年2月までの5カ月間に電話や訪問による督促を計1704万件行うとしていたが、実際の督促は40・1%にあたる計685万件にとどまっていた。
 全体の実績も、何カ月分の保険料を集めたかを示す納付月数は2月までの14カ月間で1897万月で、機構が設定した目標の72・1%にとどまった。312カ所ある年金事務所中、目標を上回ったのは3事務所(0・9%)のみで、達成率が50%に満たない事務所も25(8%)あった。

 機構によると、3社は「入札から業務開始までの間隔が1カ月未満と短く、計画通りに作業人員が集まらなかった」などと説明したという。

 機構は「業者には、計画を下回った分の件数を今後穴埋めするよう指導している」としている。

 督促業務の民間委託は「官」と「民」がサービスを競う「市場化テスト」の一環で2007年に開始。09年10月から全年金事務所に拡大されたが、10年度の保険料の納付率は59・3%で3年連続で過去最低を更新した。委託中の6社の契約は12年9月までで、機構が発足した10年1月以降の委託費は総額約141億円。
 日本年金機構の話 検査院の指摘を踏まえ、より効果的、効率的な事業を実施していきたい。 (2011.10.20 日本経済新聞朝刊記事から)<<<



[編注,コメント]

 「官」と「民」がサービスを競う「市場化テスト」などという空虚な試みのなれの果てだが、無駄金を使ったことに違いはない。

 「競え」ば、「競争」を入れれば問題が解決するとは声高に叫ぶ人がいて、異議をさしはさみ難い雰囲気が、確かに一時期、あったということだ。