(以下本文は毎日新聞2012.3.7配信記事から)

”  「みなし労働時間制」を巡り、添乗員派遣会社「阪急トラベルサポート」(大阪市)の添乗員6人が適用は不当として残業代の支払いを求めた2件の訴訟の控訴審判決が7日、東京高裁であった。判決で裁判長は1審・東京地裁判決(10年7、9月)を変更し、適用を不当として計約2730万円の支払いを命じた。
 
  東京高裁は、適用の可否について「使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を把握することが困難な場合に限られる」との判断を提示。添乗員は会社側の指示書に基づき業務に就くうえ、飛行機の出発・到着時間も客観的に把握でき、労働時間の算定は可能とした。

  1審判決は添乗員が事業所に立ち寄らずにツアーに出発・帰宅している点などから「算定は難しい」と適用を妥当としていた。”
 


【参考】 東京地裁「阪急トラベルサポート事件」判決


  添乗員6人が、「みなし労働時間制」は不当として、残業代計2428万円の支払いを求めていた訴訟の判決で、東京地裁は2010.9.29日、みなし労働制の適用を妥当としたうえで、会社側に未払い残業代と付加金計2276万円の支払いを命じた。

(1)  「長距離移動の際に休憩を挟める」「出国・帰国の飛行機内で睡眠を取れる」等の点を考慮し、「労働時間の算定は困難」とする会社側の主張を認め、みなし労働制を適用できると判断。


(2) その一方で、みなし労働時間を一律1日11時間とする会社側の主張を「労使間にみなし労働時間に関する合意がなく、会社の一方的な判断」と退け、ツアーの日報などを基に実際の労働時間を算定し、ツアーに添乗した2005年5月〜2008年4月の未払い残業代1138万円と同額の付加金の支払いを命じたもの。


[編注,コメント]


 旅行業界では、添乗員にみなし労働時間制を適用する慣行があるが、法的には、労働時間の把握が困難なときについてどう解するかが争点になる。

 日報などにより添乗員の詳細な行動が確認できる場合では、労働時間の把握が困難とはいえないとする判断が有力になっていく可能性が高い。

 加えて、「勤務実態」はどうか!
 添乗員の勤務が実態として”ハード(過酷)”な現実があるときには、おそらく、その救済的意味で「みなし労働時間制の適用を認めるわけにはゆかない」とする傾向が強くなる、そのような展開が予想される。

 
労務安全情報センター
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